元村有希子・田中泰義's profile理系白書ブログBlogLists Tools Help

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    July 19

    最近読んだ/これから読む本

    元村です。
     
    参院選の真っ只中だが、例年とは様相が違う。地震があったことが大きいだろう。新聞も紙面の多くを地震に割いている。
    当然だけれど、地震によって選挙の争点がボケてしまうのでは本末転倒である。
    地震を通して、暮らしと政治の関係を考えてみるのもいいと思う。
     
    えっと、しばらく紹介してなかった、いただいた本。読んだものもあれば、これから読むものもある。簡単な紹介で恐縮。
     
    ★教養とはなにか(松信八十男、新風舎、1300円+税)
     私のところには、時々、まったく知らない方から著書が届く。あちらはご存知なのだろう、あるいは出版社の編集者氏が「こういう類の本はこういう記者に」という知恵を働かせてくれているのだろう。この本の内容は、新制大学になって絶滅した「教養教育」に関するエッセイ集。昔の人はすごかったと素直に思う。
     
    ★男からのラブレター(菅野典雄、キング印刷、1905円+税)
     これも、見ず知らずの方が贈ってくださった。見ず知らずといってもこの著者は、福島県飯舘村の村長さんである。小さいけれど、そのスケールを生かして、人の心の通った政治をしている。「までいライフ」ってご存知?興味があったら飯舘村をチェックすべし!
     
    ★東大教養囲碁講座(石倉昇ほか、光文社新書、850円+税)
     4000年の歴史を持つ「脳トレ」、それが囲碁だという。私はやったことがない(恥)。東大では05年から、囲碁を通して思考力を鍛える人気講座があり、その講師陣が共著で書いた囲碁の入門書である。
     
    ★時そばの客は理系だった(柳谷晃、幻冬舎新書、740円+税)
     「落語で学ぶ数学」とサブタイトルにある。著者は、落語好きな人であり、数学に関する柔らかめの著書が多くある。タイトルにある「時そば」は、そばをすするシーンが出てきて、私も好きな一席。「いま何時だい?」は、小銭が飛び交う宴会の会費集めでやると、みんなから叱られる。
     
    ★麹(一島英治、法政大学出版局、2500円+税)
     みなさんは麹菌が「国菌」だって知っていますか?私は知らなかった。へえと思って、その提唱者を取材して「発信箱」で紹介した。一島さんは東北大名誉教授。提唱者その人である。麹菌の研究者であるが、麹菌の由来や歴史から食文化まで、幅広く研究しておられる。その集大成。
     
    ★リスク学入門1(橘木俊詔ほか、岩波書店、2800円+税)
     「1」とあるから、シリーズで増えていくのだろう。サブタイトルは「リスク学とは何か」。まず基本編ですな。リスクが重要な昨今、タイムリーな出版ではあるが、横書きでちょっと教科書向き。夏休みにきっちり読んでお勉強する人にはいいと思う。
     
    ★人はなぜ立ったのか?(島泰三、学研、1200円+税)
     あーいあい!あーいあい!おさーるさんだよ~のアイアイを研究してきた「ドクトルアイアイ」こと島泰三さんが、子ども向けにかいたアイアイのなぞめいた生態ルポ。大人にももちろんおもしろい。で、なんで二足歩行の話になるかは・・・読んでのお楽しみ。
     
    ★世界の黄砂・風成塵(成瀬敏郎、築地書館、2000円+税)
     中国大陸から運ばれて列島を悩ませている黄砂。大きくは風で運ばれる土「風成塵」というそうだ。気候変動や民俗まで含めた黄砂の全容を、実証的に書いた力作である。兵庫教育大大学院教授。
     
    ★アカデミック・ハザード(トーマス神村、海鳴社、1000円+税)
     なぞめいている。著者略歴がない。もちろんペンネームだろう。アカデミア内部の人だろうか?サブタイトルは「象牙の塔殺人事件」。アメリカ帰りのナノテク研究者が、日本の大学に就職して、権謀術数の策略に巻き込まれ・・・というあらすじ。どこか真実味もあって興味深い。
     
    ★ケンブリッジの卵(下村裕、慶應義塾大学出版会、2000円+税)
     ゆで卵やラグビーボールなど、中が個体のだ円球を勢い良く回すと、それはやがて立ち上がる。その秘密に迫った物理学者が、慶應大で教養教育としての物理を教えている下村裕教授である。私もおもしろいなあと思って、論文をニュースや「発信箱」で紹介させてもらった。本はこの研究を始めるきっかけになったイギリス留学の思い出も含めた書き下ろし。物理のおもしろさも感じられる一冊だ。
     
    ★ロボット・イノベーション(石原昇ほか、日刊工業新聞社、2200円+税)
     石原さんはテクノロジーアナリストという商売をやっている。ロボットは30年前のコンピューター産業に酷似していると彼はいう。産業用ロボットはメインフレーム、民生用ロボットはマニア向けパソコン、なのだそうだ。ロボット産業で日本が主導権を握るには何をすべきか?について書いている。
    May 16

    読みませう

    元村です。
     
    春は出版にいい季節らしい。私の机に届く本も、通常より心持ち多いような気がする。いくつかを紹介する。
     
    ★科学の社会化シンドローム(石黒武彦、岩波科学ライブラリー131、1200円+税)
     タイトルにもなっている「科学の社会化シンドローム」は著者の創作だそうだ。つまり、科学が社会とのかかわりを無視できなくなった(それ以上に、社会とのかかわりのなかで発展する時代になった)ことに伴っておきてきた、歓迎しない「病的症状」を言う。例えば近年目立つ、研究不正の問題などだ。著者は科学コミュニティの内側から、その背景と対処法を提示してみせる。岩波の「科学」に連載したものを、アップデートしてまとめたもの。
     
    ★科学ジャーナリストの手法(日本科学技術ジャーナリスト会議編、化学同人、2000円+税)
     昨日入手。「できたてのほやほや」らしい。副題に「プロから学ぶ七つの仕事術」とあるように、科学ジャーナリストのスキルを、現場で働く人たちが具体的に指南している。実践書としてはとても分かりやすくて役に立ちそうだ。ちなみに七つとは、視点、情報収集、構想、文章作法、ビジュアル表現、専門の壁、モラル、だそう。
     
    ★医療倫理(トニー・ホープ、岩波書店、1500円+税)
     安楽死など従来の問題に加えて、新たに出現した医療問題を取り上げ、それらを合理的に考える手法を分かりやすく解説。考え方の筋道を吟味するクリティカルシンキングの訓練。医療倫理の簡潔な入門書(以上、オビより)。具体的で今日的なテーマを取り上げて、それをどう考えていくか、読んでいくうちに問題の所在と論理的な考え方の両方が見えてくるつくりになっている。
     
    ★大学生概論(折原勝男、創風社、1000円+税)
     送ってくださった著者の方を私は存じ上げないが、略歴には山形大工学部卒、現在は自己組織化ナノテクノロジー研究所長とある。後悔しない大学生活を送るための考え方と技法が、手描きのイラストとともに平易に書かれている。実践しなくては意味がありません、とあるので、大学生になった諸君に読んでいただきたいところ。
     
    ★ごみ有料化(山谷修作、丸善、2200円+税)
     全国の市町村で、ごみ処理費用の一部を住民に負担してもらう「ごみ有料化」が進んでいる。最新のデータを、自治体調査をもとにまとめたのがこの本。調査そのものは科研費を使って実施され、一般向けの報告書を兼ねたものだと考えていい。とにかく具体的だから、ごみ有料化に関心がある人にとっては、データブックとして使えるだろう。
     
    ★先を読む頭脳(羽生善治、伊藤毅志、松原仁、新潮社、1300円+税)
     出版は昨年夏だけれど、このほどいただいたので紹介する。オビには「天才・羽生を科学する」とある。羽生善治さんはうわさによれば、将棋盤を見ただけで、カギとなる駒が「光ってみえる」のだそうだ。いわゆる直観による、先読み技術だが、これはなんでできるのかを、認知心理学と人工知能の専門家が分析したというもの。一般向けに書いてあっておもしろく読める。
     
    ★ポジティブ・アクションの可能性(田村哲樹、金井篤子編、ナカニシヤ出版、3500円+税)
     ポジティブアクションというのは、女性(あるいは男性)が極端に少ない分野や領域において、一定程度に増えるまでは積極的に不足している方を登用する、という行動のことで、「積極的改善措置」と日本語で呼ばれている。日本でも法律で認められているが、努力義務にとどまっている。本では定義から運用まで、どういうものが望ましいかを、それぞれの専門家が考察。前半は理論編、後半は実態編。
     
     
    April 12

    いただいた本

    元村です。
     
    桜が散ったら次はハナミズキだ。
    ピンク色のあの部分は、花びらではないのだね。
    さて、いただいた本。読んでないものもありますが。これから読みます。
     
    ★コダワリ人のおもちゃ箱(松浦晋也、エクスナレッジ、1600円+税)
    ご存知サイエンスライターの松浦さんが、いろんなことに熱中している人を訪ね歩いたルポである。世界一精密なプラネタリウム「メガスター」を自室で作った大平貴之さん(理系白書でも紹介)、リッター4000キロ走る車を作っている中根久典さん、わずか10センチ角のサイコロ衛星「キューブサット」を学生と一緒に作って宇宙に飛ばす挑戦をしている中須賀真一さんらが登場。好きなことをやっている人というのは目が輝いている。彼らに直接会って話を聴ける商売も、おもしろいと思う。
     
    ★サイエンスコミュニケーション~科学を伝える5つの技法(千葉和義ら、日本評論社、2000円+税)
    昨年あたりから急速に増え始めた科学コミュニケーション関連図書。これはテキストとして使えるよう工夫されている。科学コミュニケーターに求められるプレゼンテーション能力、教材開発スキル、活動のための研究費獲得スキルといった具合。第二章の「サイエンスライティング」は、あの藤原正彦さんが教壇に立った講義を起こしたもので、受講生の添削もそのまま載っている。
     
    ★世界の砂漠~その自然・文化・人間(堀信行ら編著、二宮書店、1500円+税)
    なぜ私のところに砂漠の本が来たかは想像もつかないが、去年は「国際砂漠・砂漠化年」だったこともあって、私なりに関心は持っている。アフリカ、中央アジア、アメリカの砂漠について、その現状と文化を幅広くとらえていて、読み物としておもしろい。「めぐろシティカレッジ叢書7」とある。市民向け講座20回をまとめたものだそうだ。
     
    ★理系学部に合格ったら読む本(井手弘人ら、化学同人、1200円+税)
    副題に「大学生活応援ガイド」とある。新入生向けオリエンテーション本とみてよい。「大学生の心構え」「授業の受け方と単位のしくみ」「実験とレポートの基礎知識」などなど、具体的かつ懇切丁寧に書いてある。「必修授業を休んでしまったら?」「先生と連絡を取るには?」「工学部で彼女をつくるには?」・・・・ちょっと面倒見がよすぎでないかい?と突っ込みを入れたくなるが、そういうご時勢なのだろうか。
     
    ★生活の中の数学(大澤弘典、学校図書、2200円+税)
    中学校数学の授業を生き生きとさせるための教師向け指南本である。特徴は「生活と結びつけて数学リテラシーを育てる」という着眼点。「リレーの記録を上げるために、一番効率的なバトンパスは?」「いけばなで数学してみよう」など意欲的な問題が用意されている。
     
    ★一編の詩があなたを強く抱きしめる時がある(水内喜久雄編、PHP研究所、1200円+税)
    自殺者が年間3万人という時代に、「死なないで」というメッセージはなかなか伝わらないが、この本は詩を読んでもらうことで、生へのいとおしさを感じてもらいたいという趣旨で編まれたようだ。収録された詩は50編。大岡信、谷川俊太郎、工藤直子ら詩人の作品だけでなく、吉田美和、甲本ヒロト、ビートたけしら芸能人の詩もある。お気に入りが一つ二つは見つかるかな。
     
    ★変われる国・日本へ(坂村健、アスキー新書、720円+税)
    イノベーション25の委員でもある坂村健さんの書き下ろし。専門のユビキタスだけに限らず、日本が生まれ変わるために必要な戦略と意識改革を提言している。まさに坂村節。
     
    ★子どもの学力 教師の学力(板倉聖宣、仮説社、1800円+税)
    仮説実験授業や「たのしい授業」で知られる著者の教育論。学力低下をどう考えるか、について持論を分かりやすく展開している。
    March 24

    本を読もう

    元村です。
     
    ただでさえ、年度末で忙しいシーズンだが、ニュースもにぎやかだ。
    電力各社による「臨界事故報告せず」の類のニュースやタミフル関連、病気腎移植、向井亜紀さんの最高裁判決・・・
    科学部は論文レベルの研究成果だけを記事にする部署だと思われがちだが、世間のニュースにぴったり寄り添って(振り回されて?)いる。
    取材に行くと、「こんなこともやるんですか?」と驚かれたりする。
     
    さて、いただいた本の紹介。でも相変わらず繁忙につき、ほとんど読めていません。すみません。タイトルと簡単な紹介のみ。
     
    ★新たな疫病「医療過誤」(ロバート・M・ワクターら、朝日新聞社、2400円+税)
    医療事故はヒューマンファクターと組織の問題が絡み合って起きる、と帯にある。ドラマチックなケースワーク。「ERを読んでいるみたい」だそうだ。
     
    ★大学病院革命(黒川清、日経BP社、1300円+税)
    病院者がたまたま続いたけれど、日本の大学病院の課題を網羅。黒川先生、イノベーション25で忙しいのに、いつの間にこんな作業を・・・
     
    ★デジタル・メディア・ルネッサンス(志賀厚雄、丸善ライブラリー、780円+税)
    新大陸アメリカ西海岸で20世紀に革命がおきた。それはデジタル革命。著者はアメリカに住んでそれを目の当たりにした人物。
     
    ★おいしいものが好き(しごと応援団編著、理論社、1000円+税)
    いわゆるロールモデル本。食べ物にかかわる仕事についている女性を紹介しつつ、どんな勉強が必要か、その仕事がどんな風におもしろいかを語らせる。私も一時期は食べ物に関わる仕事(出版社とかコーディネーターとか)につこうと考えていたことがあった。それをまさか知っていて送ってくださったわけでもないと思うけど・・・。
     
    ★サイエンス・ライティング入門(落合洋文、ナカニシヤ出版、1500円+税)
    著者は名古屋文理大教授。明確で正確な論文、読み手をひきつけるエッセイなど、科学を伝えるコツを、豊富な事例とともに伝授。
     
    ★環境の歴史(ロベール・ドロールら、みすず書房、5600円+税)
    新石器時代に始まる、人間が自然を「征服」しようとしてきた歴史をひもとく「環境の歴史」、とある。それにしても壮大な本である。2段組に小さな活字がびっしり。
     
    ★職務発明制度の法律研究(帖佐隆、成文堂、5000円+税)
    ハードカバーに薄紙が巻かれ、ケースに入っている本で、思わず押し頂いた。著者は久留米大学法学部教授。中身はとても読みやすい。具体的で平易。
     
    ★水はなんにも知らないよ(左巻健男、ディスカヴァー携書、1000円+税)
    新しい新書シリーズの第一弾として選ばれたのが、「水からの伝言」をはじめとする「水ビジネス」。同志社女子大教授で、理科教育の専門家でもある著者の書き下ろし。「理系白書」の提言にも出ていただきました。
     
    ★車粉物語(山科俊郎、須田製版、952円+税)
    著者は核融合の専門家だが、炉材料の研究のかたわら、こんな研究もしていたのだと、恥ずかしながら初めて知った。北海道民を悩ましていた「スパイクタイヤ」による粉塵被害の研究を通して、行政が動いた経緯が分かりやすく書いてある。宇宙飛行士の毛利衛さんも、当時は山科さんの下でこのプロジェクトに参加していたという。
     
    March 16

    深呼吸の必要

    元村です。しばらくでした。
     
    1日はあっという間にすぎていくけれど、1週間は長く感じる。
    やれやれ、やっと金曜日だ。
    (明日もあさっても仕事だけど)
    東京は今朝、おそすぎる初雪。もう名残雪か?
     
    きのうはとりわけ忙しかった。
    とっぱちは朝7時から麹町で会合。偉い人たちの日程が合わないのだろう、朝食つきだった。
    立派でおいしそうだったが、偉い人たちの前でぱくぱく食べるほど豪胆な私ではない。
    それが終わって9時半から別件の打ち合わせ。
    出社して11時から打ち合わせ。
    あわただしく新井薬師での仕事に駆けつけ、5時まで拘束。
    タクシーで移動し6時から大岡山で打ち合わせだった。
    (さらに帰って仕事)
    新井薬師では4人のいい男・・・というより「ちょいわるオヤジ」と4時間半、彼らのオーラでヨレヨレになった。これも後日ご報告。
     
    押し寄せてくる用事を片付けていくのは一種の快感でもあるが、だんだん自分が酸欠気味になってくるのが分かる。
    本当に酸欠なのかもしれない、きょうはあくびが止まらない。
    こういうときは「酸素補給」が必要である。
     
    本屋にいって目に留まった本を2冊買った。
    一冊は常盤新平の、山の上ホテルへの愛慕を書いたエッセイ。
    一冊は大好きな歌人で元は先輩だった松村由利子さんの「物語のはじまり」である。
    科学と全く関係なし(笑)
    自分の机じゃないところでこの本を広げるだけで、体中に酸素が満ちてくるような気がする。
     
    それにしても電力はどうなっているのか。臨界事故まで隠されていたとは。底なし沼みたいだ。
    January 07

    蟄居サタデー

    元村です。
     
    この3連休、日本列島は大荒れだそうだ。
    天気図をみたら、列島の上に大きなくもの巣を張ったような気圧配置。すんごい低気圧なのだろう。
    今朝も起きたら雨だった。やんだら出かけようと準備したが、終日雨。結局一歩も外出しなかった。
     
    さて、こういう日は読書に限る。3冊読み終えた。
    「一両目の真実」(吉田恭一著、エクスナレッジ、1400円+税)は、05年4月におきたJR福知山線の脱線事故で、先頭車両に乗っていた男性の手記である。
    彼は在阪のテレビ局勤務。鉄道が趣味で、本も著しているという人だが、鉄道ファンの目から、そして「伝える」視点から、事故の状況(一人称ですよ)を克明に記している。
    彼は事故で足をはさまれ、レスキュー隊や医師の献身的な努力で5時間後に救出される。その描写に引き込まれた。
    金曜の夜、帰りの電車で読み始めたのだが、前に座っている人がチラチラと見るので、よく考えたら、その時乗っていた車両が先頭車両だった。
     
    「さよなら、サイレント・ネイビー」(伊東乾著、集英社、1600円+税)は、オウム真理教による地下鉄サリン事件を扱ったドキュメンタリーである。
    著者は東大物理学科卒。サリン散布にかかわって死刑判決を受けた豊田亨被告とは仲の良い友人同士である。
    理系のエリートがなぜオウムに走ったのか?という世間の疑問を、彼なりの視点で解明しようとする努力の過程を本にしている。
    昨年、第四回開高健ノンフィクション賞を受賞した。
    麻原こと松本被告も含め、関係者を死刑にするだけでいいのかという問題提起にもなっている。
     
    あとは「ニッポン南極観測隊」(丸善)。なぜ隕石が南極に多いのか、について納得できた。隕石採取旅行にでかけて、深さ35メートルのクレバスに落ちるあたりの描写がすごい。
     
    一歩も外に出なかったので、3食はあり合わせ。
    昼は、実家から持って帰ってきた素麺にチャレンジした。なぜチャレンジかというと、製造が97年だからである。
    よくある高級熟成そうめん(いわゆる「ひねもの」ね)とは事情が違うので、恐る恐るゆでてみた。
    若干油が回っているような香りがするが、煮麺とかそうめんチャンプルにはいいようだ。
    購入後1カ月半の納豆を食べる時より、勇気がいった。
     
    夕食は昨夜作って寝かせたカレー。
    おせちもいいけどカレーもね!(古い)
    トッピングに、レンコンの乱切りを塩コショウでいためて加えた。単品でも美味。
    クリスマスにいただいた千疋屋レアチーズケーキも食べ終えた(これは日持ちがするやつですよ)。
     
     
     
    December 26

    届いた本

    元村です。
     
    Hideさん及びヤス出題の年末クイズ、ひきつづきよろしくお願いします。
     
    さて、この間にいただいた本、読んだ本を紹介。忙しくて積ん読状態のものもいくつか。おっし正月は読書三昧だ。
     
    ★世界の科学教育 国際比較からみた日本の理科教育(松田良一編著、明石書店、2200円+税)
     けさ届いたばかり、できたてのほやほや。理科教育業界のエキスパート17人の共著である。医学、化学、生物といった科目教育の貧困さ、中国やアメリカの理科教育との比較、新教育課程で学んだ高校生が大学に入った「2006年問題」の総括など盛りだくさんだ。下村博文さん、立花隆さん、黒田玲子さんらのパネル討論の様子も。
     
    ★めざせ!イノベート・ニッポン(松田岩夫、科学新聞社、1500円+税)
     松田岩夫さんというのは前の科学技術担当大臣である。昨年就任してから1年間の任期で、そうとう勉強されたようで、持論を本にまとめた。テーマははやりの「イノベーション」。日本を世界の頭脳センターにするためにどうすればよいかを論じている。それにしても、この本ができるまでに、官僚のみなさんが相当汗をかかれたのだろうと想像(笑)。
     
    ★検証・国家戦略なき日本(読売新聞政治部、新潮社、1400円+税)
     理系白書第三部「漂う戦略」をやっている最中に出版されたので、読売のO編集局次長が送ってくださった。連載中から読んでいたが、「理系白書」がどちらかといえば現場発、虫の眼から世界を見るアプローチなのに対して、こちらは大所高所、政治の眼から科学技術戦略を眺めている。弊社の政治部はあまり科学技術に関心がない。こういう記者が政治部にいるのはうらやましい。
     
    ★環境安全学 これからの研究教育の必須学(高月紘編著、丸善、1700円+税)
     環境安全学?耳慣れない言葉だけれど、環境と安全と、健康と倫理とを扱う横断的な領域らしい。実験室での化学物質の管理、廃棄物の処理もこれらに含まれるのだそうだ。環境をよくする研究が危険であっては困る。環境安全学の啓発と、実験室の安全マネジメントの教科書を狙った本と見た。
     
    ★崩食と放食 NHK日本人の食生活調査から(NHK放送文化研究所世論調査部編、生活人新書、740円+税)
     NHKの世論調査は、けっこう時宜を得ていて引用しやすい。これは06年3月、16歳以上の日本人を対象に実施した、食生活に関する調査結果の報告書をかねている。「崩食」はたとえば朝食を抜くなどの、リズムが乱れている食生活。「放食」は、食事の内容や栄養バランスに気を配らなくなっている状況を指した造語だ。こうした食生活習慣と性別、年代、生育環境、家族構成、家族で食卓を囲む回数などとの相関も見ていて、興味深い。
     
    ★境界知のダイナミズム(瀬名秀明、橋本敬、梅田聡、岩波書店、2200円+税)
     すみません、まだ読めてないので正月に読みます。作家(薬学)、大学教授(言語学)、大学助教授(認知科学)が集まると何が始まるか。「見える」「見えない」、「感じる」「感じない」、「心地よい」「違和感がある」、その境界には何があるのか?そこを掘ると面白いぞ?という興味から始まって、それぞれの知識を動員しつつ持論を展開。さぼってる脳が心地よい混乱を来たしそうな予感。
     
    ★イノベーター日本 国創りに結実する科学技術戦略(柘植綾夫監修、オーム社、2800円+税)
     これまたイノベーションものです。生駒俊明、大見忠弘、田中耕一、藤本隆宏・・・各界でイノベーションを生み出してきた人たちが分担執筆している。骨太。書いている人の個性が出ていて興味深い。
     
    ★見る、撮る、魅せるアジア・アフリカ!(北村皆雄、新井一寛、川瀬慈編著、新宿書房、3500円+税)
     京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科が02年度に獲得した21世紀COEプログラムの報告書も兼ねている。映像や写真を通して情報発信している人たちが、アジア・アフリカ地域に分け入って撮ってきた「見えるもの」と見えないものの記録。DVDつき。
     
    ★21世紀創造技術立国への道(真壁利明編著、培風館、非売品)
     著者は慶応大学21世紀COEプログラム(情報・電気・電子分野)のプロジェクトリーダー。博士号取得者のキャリアパスにも多くのページを割いている。
     
    ★ヒトはいかにヒトになったか(正高信男、岩波書店、1800円+税)
     京大霊長類研究所教授の正高さんは、サルを観察することからヒトの進化、発達を考察している。正月に読む本の筆頭なんだけれど、例えば「ネアンデルタール人は話ができた?」「モーツァルトが好きなサル」「チンパンジーの自己鏡像認知」「テナガザルの歌唱レッスン」・・・おもしろそうでしょ?
     
    ★コスト構造改革のヒント 橋の設計・デザインを楽しく(寺田和己、鹿島出版会、1800円+税)
     著者は土木構造デザイナー。彼に言わせれば、日本の橋は「計画がヘボ。だから金がかかる」。設計やデザインを見直すことで、品質は良くなり、工費も安く済むことが多いのだという。普通、橋のほとんどは公共事業。ってことは無駄遣いってことか? 
    November 24

    久しぶりに本

    元村です。
     
    さいきん読んだ本、これから読む本を紹介。
     
    ★背信の科学者たち(ウィリアム・ブロード、ニコラス・ウェイド著、牧野賢治訳、ブルーバックス、1140円+税)
     科学者はなぜ不正行為を繰り返すのか。古くて新しい問題である。原著は1983年に書かれた。日本語訳は1988年に出版された。それに新しい情報を加えて、新たに出版した形だ。不正行為は古くからあって、プトレマイオスは、自分がやってない天文観測を、あたかもやったように主張したという。たくさんのケースから学ぶことがある。
     
    ★希望学(玄田有史編著、中公新書ラクレ、700円+税)
     東京大学の社会科学研究所が05年から取り組んでいるプロジェクトで、「希望を持つ人たちの特性」を掘り下げている。例えば、小さいころ、家族に期待されていたと感じる人は、希望を持ちやすい。小さいころに、「なりたい職業」があった人は、その職業についている・いないにかかわらず、希望を持つ傾向がある、といった具合。希望を持つべきだとか、希望が持てないのはいけないという価値観を除いて、「希望」の意味を模索している。
     
    ★137億光年のヒトミ(鳴沢真也、草炎社グリーンブックス、1200円+税)
     著者は兵庫県立西はりま天文台の主任研究員。公開用としては世界最大の天体望遠鏡があって、ここで「地球外生命」を探すSETIという計画を進めている。本の書きぶりは子供向けだが、中身は大人も十分楽しめる内容。
     
    ★ニッポン南極観測隊 人間ドラマ50年(小野延雄、柴田鉄治編、丸善、1200円+税)
     ごぞんじ、今年は南極観測50周年。その記念誌的な意味合いもあるのだろう、観測事業の発端から、「タロ・ジロの真実」、南極観測の苦労話など、けっこう盛りだくさんな内容だ。そういえば来週、観測隊が日本を出発するのだったなあ。
     
    ★ジェンダー入門(加藤秀一、朝日新聞社、1300円+税)
     男性が書くジェンダー学の入門書。著者は明治学院大教授。「ですます」調で読みやすいから、頭の整理によさそうだ。
     
    ★脳の学習力(S.J.ブレイクモア、U.フリス著、乾敏郎ら訳、岩波書店、2800円+税)
     著者はイギリスの神経科学者。早期学習の有効性は本当か?脳の学習力は一生続くのか?など、興味をもたれるトピックについて、比較的分かりやすく書いてある。「子育てと教育へのアドバイス」がサブタイトル。脳力ブームはイギリスでも同じかなあ。
     
    ★知恵の悲しみの時代(長田弘、みすず書房、2600円+税)
     おさだひろし、という詩人のエッセイ集。私はこの人を知らなかった。言葉をきれいに使っていて、大切に読みたくなる。まだ読んでないのだけれど、休日の午後、陽だまりのカフェでページを繰りたいような感じだ。といっても今週末も休みはないけれど。
     
    ★人間という生き物(上領達之、培風館、1300円+税)
     私が先日、学士会会報という冊子に文理分けのことを書いたのを読んで、送ってくださった。著者は広島大学名誉教授。文系の学生に、いかに生命科学を教えるか、に心を砕いて、授業をしたそうだ。その講義録が基になっている。「生物と化学の補習講義Ⅰ」とあるから、Ⅱ、Ⅲが続くのだろうか。ところで、学士会会報というのは、旧帝大のOBたちの会報なのだが(私もその一員らしい)、書いたものに反響が多いので驚いた。しかも、お手紙を下さるのは、おしなべて70歳代以上の方ばかりである。
    September 12

    最近届いた本・読んだ本

    久しぶりに本を紹介しよう。
     
    ★世にも微妙なグルメの本(空条海苔助、アメーバブックス、1200円+税)
    どういう意図を持ってか知らないが、科学技術及び環境とはまったく関係がない本が送られてきた。題名どおり「食べる人を驚かせ、楽しませるグルメ」が満載。著者は会社員で、趣味は「ビミョーなグルメ食べ歩き」。読む限り、相当勇敢な大食漢とみた。経歴をみたら「TVチャンピオンの焼肉王、デカ飯盛り王選手権で準グランプリを取っているそうだ。あっぱれ。中身は読んでいただくことにして・・・わたし、この人と話が合うと思う。
     
    ★数学する本能(キース・デブリン著、冨永星訳、日本評論社、2200円+税)
    著者はスタンフォード大教授。数学研究のかたわら、一般の人に数学の楽しさをテレビやラジオやコラムを通して伝えている。0歳の赤ちゃんや犬、ネコ、こうもりやイセエビなど、あらゆる生きものの生態・行動を数学の眼でとらえて分析した意欲的な著書。生まれつき数学が苦手な人はいない、というメッセージには励まされる。
     
    ★グローバルスタンダードと国家戦略(坂村健、NTT出版、2300円+税)
    ごぞんじTRONの坂村健・東大教授が国家戦略を斬る。日本の教育、経済モデル、産業構造、といったあらゆる要素が技術戦略にかかわってくる、という貴重な提言。
     
    ★ダーウィンのミミズ、フロイトの悪夢(アダム・フィリップス著、渡辺政隆訳、みすず書房、2500円+税)
    ダーウィンとフロイト、この2人の共通点は?私には分からないけれど、著者で精神療法家のフィリップス氏は、この二人が「こだわった」ものにこだわってこの本を書いたそうだ。訳者の渡辺政隆さんはフリーのサイエンスライター。私が知らないいろんなことを知っている。
     
    ★特許は会社のものか(渋谷高弘、日本経済新聞社、1500円+税)
    サブタイトルは「企業と技術者の新しい関係」。この数年間で起きた職務発明に関する訴訟を網羅し、原告や代理人を訪ね歩いて掘り下げている。著者は現役の日経記者で、知的財産を担当しているそうだ。こんな本が書けるということは、このテーマをずっと取材し続ける根気があって、彼の蓄積について会社の理解もあるからだと見た。ちょっとうらやましい。
     
    ★月に行こうか、火星に行くか(五代富文、丸善、1600円+税)
    日本初の国産ロケットH2の開発責任者が書いた一般向けの本。日本の宇宙開発の歴史と現場、宇宙旅行時代への戦略と展望まで網羅している。世界の宇宙開発レースを勉強したい人(私)にはかっこうのテキストになる。宇宙のこと好きなんだなあというのも伝わる。
     
    ★ヒトは今も進化している(ローワン・フーパー著、調所あきら訳、新潮社、1500円+税)
    なぜ男は大きなバストの女性が好きなのか? 若者はどうして気まぐれなのか? これも自然選択の結果なのだそうだ。地球上の「当たり前」を、生物学の視点で説き起こした本。著者と一度会ったことがある。彼は日本に住んでいた経験があって、著書の中にも日本の話が結構出てくる。現在はロンドンに住んでNew Scientistなどにも記事を書いている。
     
    ・・・さてこれから欧州出張。乗り換えも含めて往復30時間、本が4冊は読めそう。どれを持っていこうかな。
    てことで、あちらの通信事情がよく分からないので、今週一杯はブログの書き込みがとぎれがちになりますが、ご勘弁を。
    See you again!
     
     
    August 08

    いただいた本

    職場に届くニュースリリースや資料はかなりの量だ。
    ファクス、メールでも届く。すべてにおつきあいできないのが残念なところ。
    本もかなりいただいたので、紹介しよう。
     
    ★職務発明訴訟の総括~これでよいのか日本の知財戦略(青山紘一代表編著、経済産業調査会、4900円+税)
    青色LED(日亜化学)、フラッシュメモリー(東芝)など、私も少し発明訴訟の取材にかかわってきた。この本は過去の発明訴訟の経緯と影響、教訓、そして提言が網羅されている。「日本特許出願の96・9%が法人による出願であり、特許制度の最大のユーザーが企業であるため、これまでの法改正には、企業の要請が強く反映される傾向にあった。しかし、特許出願のもととなる発明を生み出すのはいうまでもなく発明者であり、発明者の叡智なくして特許制度は存続し得ないし、発明者に対するインセンティブを高め、よりよい発明を創造することこそ、何よりも優先させなければならない理である」(はしがき)
     
    ★解剖男(遠藤秀紀、講談社現代新書、720円+税)
    オビに写っている男性がおそらく著者であろう。なんか目がこわいのだ。「解剖男」っていうタイトルがそういう印象を与えるのか?でも中身は興味深い。著者は現在、京大霊長類研究所の教授で獣医さん。動物園などで動物が死ぬと、「遺体を提供してください」と頼み込んで解剖し、進化の謎を追いかけている。「遺体科学」という領域だそうだ。
     
    ★1972 青春 軍艦島(大橋弘、新宿書房、2300円+税)
    軍艦島とは、九州・長崎の沖にある島だ。かつて炭坑があった。1974年に閉山され、廃墟となった。だから私は、人が住んでいたころの軍艦島を知らない。この本は、人が生き生きと暮らしていた頃の軍艦島を撮影した写真と、暮らしぶりをつづったエッセイからなる。著者は72年から73年まで、島の下請け会社で働いたという。当時27歳、現在59歳。人がいる軍艦島、それだけで私には新鮮だ。
     
    ★宇宙へのパスポート3(笹本祐一、朝日ソノラマ、1714円+税)
    笹本さんは、知る人ぞ知る、宇宙作家クラブの会員でSF小説も書く、北海道在住の科学ライターである。私は昨年、スペースシャトルの取材現場で初めてお目にかかった。これまた知る人ぞ知る技術評論家の松浦晋也さんともうお一人、計3人で、なぞめいた雰囲気をかもし出しながら、NASAの会見に出ていた。この本はそれも含め、03年のアリアンVロケットから05年のはやぶさミッションまで、6つのロケットミッションに密着取材した取材日記。ブログを読んでいる感じに近い。
     
    おっと、次の取材だ。残りはまたのちほど。
    July 13

    届いた本

    きょうはあつい!
    あつい時は汗を流すに限る。
    汗をかいてもいい格好でね。
     
    さて、いただいた本。
     
    ★新ホスピス宣言(山崎章郎、米沢慧、雲母書房、1700円+税)
    山崎先生は、「がんに負けない」の取材で、ターミナルケアをくわしくやったとき、とてもお世話になった。私個人としては、大学時代に山崎先生の「病院で死ぬということ」を読んで、激しく感動した記憶があるので、一ファンでもある。ところで彼は最近、ホスピスケアも、限られた人だけが受けられる施設ケアであり、限界があるのでは、ということから、在宅でのターミナルケアを模索している。そんな挑戦も盛り込んだ対談集。
     
    ★脱力系女子大教授(白楽ロックビル、丸善、1000円+税)
    バイオ系の方はよくご存知、お茶の水女子大の白楽さん(本名は別にある助教授です)のエッセイ集。読売新聞の夕刊科学欄に、05年春から1年間、連載したものが元になっている。教員でありながら、アカデミアを一歩外から眺めている感じの書きっぷりが、おもしろい。「脱力系」というのは、そういえば科学技術の世界にはあまりないキーワード。
     
    ★恐怖の病原体図鑑(トニー・ハート著、中込治訳、西村書店、1800円+税)
    タイトルがいい。オビには「あなたに忍び寄る超微小テロリストたち170種」とある。こわい!でも、中にはウイルスや細菌がカラー写真で掲載されていて、どうやったら暴露し、どういう症状が出るか、情報が満載。あってほしくない生物兵器取材のバイブルとして使わせていただきます。もちろん、専門家でなくても楽しめる。「へんないきもの」「寄生虫博物館」に似通う何かが・・・。
     
    ★こぐま園のプッチー(むろふしきみこ作、しもいまさき絵、冨山房インターナショナル、1200円+税)
    作者は童話作家ではなく、ICU理学科の室伏きみ子教授。こういう才能もあったのかとびっくりした。「子育てをしながら書き溜めてきた童話」だそうだ。私はくま(のぬいぐるみ)が大好きなので、なごむ。
     
    ★エッフェル塔のかけら(岡部憲明、紀伊国屋書店、1800円+税)
    著者は建築家。パリのポンピドゥーセンター、関西国際空港ターミナルビル、新ロマンスカー(小田急)の設計に携わった人である。秋にこの人をインタビューする機会ができそうで、予習代わり。装丁もいいし、週末に読むことにしよう。理系の職業でも建築家は少し違うイメージを感じる。
     
    ★がんの時代を生き抜く10の戦術!(絵門ゆう子ら、三省堂、1500円+税)
    知人の医療ジャーナリストで共著者の埴岡健一さんからの献本。がんとどう向きあい、正しい知識をどう得て、どう戦うかを具体的に解説している。この春、亡くなった絵門ゆう子さんをまじえた座談会の記録も収録している。
    July 06

    重版

    「理系白書」文庫本、おかげさまで重版決定。
    1500円だった単行本が税込み600円になったおかげで、新しい読者が増えてくれるのではと期待していたけれど、重版は素直にうれしい。
     
    本日は早出。早めに寝たのに寝坊した。
    ウィンブルドンを見たせいか。
     
    男子シングル準々決勝のフェデラーとアンチッチの試合はセンターコートだった。控え室からコートに出てくるシーンを初めて見たけれど、控え室がなんかすごいゴージャスな(ボキャ貧で適当な形容詞が見つからない)部屋で驚いてしまった。
     
    ウィンブルドンに出る選手のユニフォームが白と決まっている、というのはどなたかも書いてくれていたけど、フェデラーはユニフォームの上から真っ白なブレザーを羽織っていて、それがなかなか決まっていた。
     
    ところでゲーム中、主審のネクタイが、ウィンブルドンのシンボルカラー(深緑と紫)を配したレジメンタルだったので、この人センスいいじゃんと思っていたら、今朝の朝刊に、審判の制服が変わった、とあった。今年からラルフ・ローレンのデザインに変わったのだそうだ。言われてみればそんな感じだ。
     
    伝統を重んじる英国民の間には「米ブランドはいかがなものか?」という異論もあるとか。
     
    ラルフのデザインは私は大好きだけど、サイズが巨大なうえに、私が着ると制服みたいになってしまう。だからシャツとポロシャツ(キッズサイズ)程度にとどめている。
    June 16

    「理系白書」文庫本発売

    きのう、「理系白書」の文庫本が本屋さんに並び始めた。
    講談社文庫、600円。
    なんと銀色のオビを巻いている(はいている、というのかな)。
    装丁は単行本と同じ印象にしてある。
     
    並んでるかなあと気になって、昨日、取材途中に丸善によってみたら、平積みになっていた。
    思わず2冊購入。税金の関係で1199円だった。
     
    やっぱり自分がかかわった本が並んでいるのはうれしいものだ。
    見かけるとつい買ってしまう。
    オビがずれていたら整えたりして。
     
    大学生協などだと、5~7%割引で買えるところが多いので、学生さんにも気軽に買ってもらえるかなあと期待している。
     
    このさい、最近いただいた本を紹介。忙しくてきちんと読めてないので簡単でごめんなさい。
     
    ★サクラソウの目(鷲谷いづみ、地人書館、2000円+税)
    サクラソウは絶滅危惧植物なのだそうだ。サクラソウを主人公に、野草や花の適応進化、虫や鳥とのつながりを描いている。著者はサクラソウを20年以上研究している東大教授。
     
    ★社会環境学への招待(高多理吉、野上健治、林泰三、桂木健次編著、ミネルヴァ書房、3000円+税)
    横書きでテキスト風だが、環境を単独で考えるのではなく、経済とのかかわりや地域、社会という文脈の中で考えるべし、と解いている。「医師環境における患者と医師の関係」なんて章もあって、分野横断的なところがおもしろそうだ。
     
    ★痛快 化学史(アーサー・グリーンバーグ著、渡辺正・久村典子訳、朝倉書店、6800円+税)
    16世紀から19世紀ごろにかけての化学史上の発見や発明にかかわるエピソードを「痛快」に紹介している。ちょっと高いので「図書館向き」と訳者の渡辺先生は話していた。お話のあちこちに挟み込まれた挿絵が美しい。細密な版画で、当時の書物の転載である。
     
    ★さきがけものがたり(科学技術振興機構、アドスリー)
    ご存知、JSTの研究制度「さきがけ」(1991年始動)に集まった若手研究者を紹介した本。非売品か?ISBNがない。たくさんの若い才能を放し飼いにして育てることから、「さきがけ牧場」という言葉があったとか。知らなかった。
     
    ★看護技術 目で見る事典(川原礼子、山内豊明、山田智恵理監訳、西村書店、2980円+税)
    社長さんが(知らない人だけど)送ってくださった。看護学生のサブテキスト向き、と書いてある。清拭、患部ケア、体温、脈拍、静注、体位など、あらゆる看護ケアを写真で分かりやすく解説。外国の事典の訳なので、モデルがすべて外国人。「ひげのケア」に登場している男の人が気に入った。
     
    ★キー・コンピテンシー(ドミニク・S・ライチェンら編著、立田慶裕監訳、明石書店、3800円+税)
    副題が「国際標準の学力をめざして」。現代世界に共通する学力とは何か?OECDは「キー・コンピテンシー」(鍵となる能力)を提案しており、それを専門家が解説している・・・らしい。
     
    ★踊る「食の安全」(松永和紀、家の光協会、1400円+税)
    著者は食と農が専門のライター。この本では農薬問題を取り上げている。「単純な是非論を超えて、持続可能な農業を築き、私たちの大切な食文化を守っていくために知っておきたい、本当の農薬の話」(著書紹介から)
     
    ★朝日ジュニア百科年鑑2006(朝日新聞社、2700円+税)
    NHKの「週間こどもニュース」が活字になった感じ。分かりやすい。いまさら人に聞けない世の中の仕組みが、理解できます。知り合いの記者が、今はこの編集部にいるそうで、送ってくれました。
    June 07

    「理系白書」文庫化!

    お知らせ。
     
    「理系白書」が文庫本になります。
    講談社文庫から、6月15日発売!
    お値段は600円(税込み)!
     
    03年6月に単行本「理系白書」を出版してから3年。しぶとく売れ続けていますが、1575円という価格は心苦しいものがありました。
    回し読みしていた人も多いらしく。
    文庫本なら、高校生、大学生のみなさんにも買っていただけそうです。
    大学生協などから、早くも注文が来ているそう。
     
    きょう、見本が届きました。
    店頭に並ぶのは6月15日。どうぞよろしくお願いします。
    May 25

    ほん

    最近サボり気味の「届いた本」紹介。
     
    ★「ビッグバン宇宙論」上・下(サイモン・シン著、青木薫訳、新潮社、各1600円+税)
     新潮社宣伝部のササキさんが、発売日(6月23日)より1カ月も前に見本を贈ってくださった。どうもありがとう。でもまだ読んでませーん(汗)。本年度ナンバー1の呼び声も高いという、科学ノンフィクション、だそう。
     
    ★「世界級キャリアのつくり方」(黒川清、石倉洋子著、東洋経済新報社、1500円+税)
     サブタイトルは「20代、30代からの国際派プロフェッショナルのすすめ」とある。医療や経営の世界で国際的に活動している2氏の共著。そういえば、黒川さんはメールを出したら、英語の返事が返ってくるときがある。キーワードは「現場力」「表現力」「時感力」「当事者力」「直観力」。そして「組織より個人」。
     
    ★「脳をめぐる冒険」(竹内薫・藤井かおり、絵・モリナガヨウ、飛鳥新社、1200円+税)
     「世界一わかりやすい脳の本」とオビにある。主人公が、ある日少年と一緒に、自分の脳の中に迷い込んでしまったという設定で、脳を探検していくお話。よく分かってる人には少々まどろっこしいかもしれないが、脳の仕組みと働きと不思議をおもしろく説明している。
     
    ★「子ども・青年の生活と発達」(藤崎春代、武内清、放送大学教育振興会、2200円+税)
     それにしてもいろんな本をいただくなあ。この中の一章を担当した山形大学地域教育文化学部、河野銀子・助教授は、理系白書の理科教育関連でお世話になっている研究者だ。
     
    ★「放射能で首都圏消滅」(古長谷稔、三五館、1200円+税)
     すごいタイトルに思わず引いてしまいそうになったが、中身はイラストをふんだんに使って分かりやすく書いてある。東海地震で、想定震源域の中心部に、浜岡原子力発電所があることは有名な話。中部電力は「東海地震に耐えられる設計になっている」と主張しているが、もしそれがダメだったら・・・という想定で書かれている。
     
    ★「カラフルな闇」(まはら三桃、講談社、1300円+税)
     プロフィルを見ると同い年らしい。この作品で「講談社児童文学新人賞佳作」を受けたそうだ。すごい。著者を私は直接知らないが、仕事の同僚の連れ合いである。つまり新聞記者と児童文学者の夫婦、ということになる。普段はどんな話をしているのだろう。
     
    ★天寿を全うするための科学技術~光触媒を例にして~」(藤嶋昭、かわさき市民アカデミー講座ブックレットNo.25、シーエーピー出版、650円+税)
     ご存知、光触媒の世界的権威で、かながわ科学技術アカデミー理事長で、東京大学特別栄誉教授の藤嶋さんが、自分の研究と社会への応用を語った。藤嶋さんのモットーは「科学技術は社会に役に立ち、人々の暮らしを快適に、健やかにするべきである」。それがタイトルによく表れている。
     
    ★番外
     岩波の「科学」6月号、特集は「理系人のキャリアデザイン」だそうです。お楽しみに。
    March 31

    ほん

    前原・民主党代表はじめ、首脳陣が辞任へ。
    臓器移植法の改正2案が提出。
    青森のアクティブ試験スタート。
    人が手薄ななか、てんやわんやの年度末である。
     
    ここらで、いただいた本を紹介しよう。
     
    ★わかりやすさの本質(野沢和弘、生活人新書、700円+税)
    著者は何をかくそう(かくさない)、以前科学環境部のデスクもしていた。障害者の権利擁護の世界では有名人である。私もちょっと手伝っているのだけど、知的障害者向けの新聞「ステージ」が今年創刊10年になるのを機に、「分かりやすく書く、伝えるということはどういうことか」を書き下ろした。「バリアフリー文章流儀」入門。
     
    ★スロー地震とは何か 巨大地震予知の可能性を探る(川崎一朗、NHKブックス、1020円+税)
    私がスロー地震と初めて会ったのは(擬人的だな)、4年前、東海地域で謎の地殻変動が観測された時だ。「ゆっくり地震だな」という人もいるし「スロースリップですね」という人もいるし「ぬるぬる地震だ」という人もいた。つまり振幅が3カ月とか1年とかいう、超ゆっくりなプレートの滑り。現代の観測技術があってこそ分かる新しい地震である。その専門家が最新の知見を解説。
     
    ★カルテ改ざんはなぜ起きる(石川寛俊、カルテ改ざん問題研究会、日本評論社、3200円+税)
    「医療過誤原告の会」会長も務めた久能恒子さんの遺志が、本になった。彼女は医師であり、医療過誤でお嬢さんを亡くした母親であり、患者の権利回復を求めて立ち上がった医療過誤訴訟のカリスマでもある。彼女との思い出は改めて書くとして、医療過誤訴訟の最大の障壁といってもいい「カルテ改ざん」の問題に、専門家が迫っている。
     
    ★ミジンコ先生の水環境ゼミ(花里孝幸、地人書館、2000円+税)
    生態学から環境問題を視る、と副題にある。目立たない小さな生き物たちの営みと、それらの相互作用がつくるダイナミックな湖の生態系を、豊富な図や写真をまじえて描いている。実験の具体的なノウハウも解説されていて、先生たちの総合学習にも使えそう。
     
    ★新しき日本のかたち(加藤紘一、ダイヤモンド社、1600円+税)
    かつての四天王、今は科学政策のエキスパートとして、不動の地位を確保した感がある。最近、国家を論じる著書は多いけれど、加藤さんのこの本は、見たり聞いたり勉強したことを基に具体的に書いてある。日中関係、憲法改正、地方分権といった章立ての一つに「科学技術立国」もある。
     
    ★学力への挑戦(仲本正夫、かもがわ出版、1700円+税)
    著者は数学の教師で、いまは私立学校の理事長。魅力的な数学の授業を通して、「なぜ数学を学ぶのか」を自分にも生徒にも問い続けてきた。実際あったけど、魅力的な人である。学力低下論争とは一線を画して、ほんとうの学力を身につける強さとおもしろさ、を主張している。
     
    ★イノベーション 破壊と共鳴(山口栄一、NTT出版、2600円+税)
    ベストセラー「イノベーションのジレンマ」を書いたクリステンセンに対して、新しいイノベーションの形を提示している興味深い著作。著者はもともと、NTTの研究者で、シンクタンクの研究者を経て、いまは同志社大の教授。理系白書が構想段階のころ、話を聞きにいったのが縁だけれど、本も7年がかりという力作だ。
     
    ★生物多様性緑化ハンドブック(亀山章監修、小林達明・倉本宣編、地人書館、3800円+税)
    緑化、造園、建設、土木、アセス関係者必携!と帯にあっておもわずたじろぐが、ようするに、自然環境を人工的に作ろうというときに陥りがちな失敗(外来種を植えて生態系が壊れるとか)をしないように、ちゃんと勉強していい仕事をしましょう、という本である。いやあ、こういう本を贈っていただくのはうれしいが、私に何を勉強してほしいとおっしゃっているのかな?
     
    ★バイオ・ケミルネセンスハンドブック(今井一洋、近江谷克裕、丸善、3800円+税)
    これは今朝届いた。私が3週間ほどまえ、「ゲンジボタルが光る仕組みを理研が解明した」という記事を書いたのを見た人が「参考に」と送ってくださったもの。しかし生き物の発光の仕組みは興味深い。発光効率が90パーセントと高いのも、自然はやっぱりすごいなあと思わせる。
     
    ★看護・医学略語辞典(学研、2600円+税)
    CASH 副腎髄質刺激ホルモン IC 虚血性大腸炎 LA 左心房 ID 免疫不全 HC 保健所 BB 血液銀行・・・ふーん!辞書にはこういう楽しみ方もある。
    March 02

    届いた本

    寄贈本がたまってきたので、このあたりで。
     
    ★「理系」の転職~あなたの本当の力を生かす(辻信之+縄文アソシエイツ、大和書房、1400円+税)
     著者は東京大工学部卒、スタンフォードでPhD取得。マッキンゼーを経て縄文アソシエイツに参加し、日本で数少ないハイテク・ヘッドハンターとある。理系人は高い潜在力を生かしきっておらず、ソンな転職をしている、として、自分をよく知り、能力に見合った転職を成功させるコツを伝授している。「理系」とタイトルにうたう本は、だいたい送っていただく。理系白書浸透の兆し?
     
    ★ひがた だいすき!(くすだひろこ作・絵、西日本新聞社、1500円+税)
     著者は切り絵作家で、福岡在住。人工島がもうできてしまったけど、和白干潟を守る運動を、長い間地道に続けている。先日、理系白書シンポジウムで福岡に行ったとき、楽屋を訪ねてくださった。10年ぶりぐらいの再会だった。ご存知のとおり、渡り鳥の中継地である干潟はいのちのゆりかごなのだけど、浅瀬を利用してどんどん埋め立てが進む。この絵本は「ひがたにすむすべての生きものたちと未来のこどもたちにささげます」で始まる。
     
    ★地球がもし100cmの球だったら(文・永井智哉、絵・木野鳥乎、世界文化社、900円+税)
     地球を直径1メートルの球にすると、富士山は0・3㎜。飲める水はわずか、スプーン1杯。空気の層は1㎜だそうだ。地球のはかなさ、すばらしさ、いとおしさを思い出させてくれる絵本。
     
    ★フィンランドに学ぶ教育と学力(庄井良信、中嶋博編著、明石書店、2800円+税)
     学力低下論争と一線を画して、フィンランドの教育を多角的に記している。あとがきに印象的な一説。「フィンランドでは教師を、国民のろうそくにたとえる伝統がある。それは暗闇の中で灯りをともし、知へといざない、人を導く存在としての学校教師への尊敬と憧れをこめた表現でもある」。
     
    ★若返る人~50歳のまま、80歳、それ以上を迎える(クロス・クロウリー、ヘンリー・ロッジ著、沢田博、佐野恵美子訳、エクスナレッジ、1600円+税)
     団塊世代のためのアンチエイジングの理論と実践、だそうだ。アメリカ式の「ハンバーガーを控えてエクササイズ」が日本の人たちにすぐ当てはまるかは?だけど、アメリカらしく、理論的かつユーモラスに、アンチエイジングの理論と実践を書いてある。知的好奇心旺盛の団塊世代には受けそう。
     
    ★水の世界地図(ロビン・クラーク著、沖大幹監訳、沖明訳、丸善、2600円+税)
     原著はThe Atlas of Water。世界を水の視点から徹底的に図説している。使えそうだ。
     
    ★産総研のすごい仕事(産業技術総合研究所著、日経BPクリエーティブ、1600円+税)
     そのまま、産総研のPR本。注目される研究成果と展望について、比較的分かりやすく紹介している。でも人が出てこないなあ。顔が見えないぞ。
     
    ★科学者になる方法~第一線の研究者が語る(科学技術振興機構プレスルーム編、東京書籍、1500円+税)
     こちらは科学者の人生列伝。おそらくJSTのさきがけなどの助成を受けている気鋭の33人の研究者に、JSTのスタッフが突撃取材、執筆している。研究を志した経緯や幼少時の思い出、研究の展望、理系の魅力、若者へのメッセージとてんこ盛り。けっこうおもしろい。
     
    January 30

    久しぶりに本

    生物教育で盛り上がっている折ですが、本がたまってきたので紹介。
     
    ★「恋愛脳」のつくり方(阿部聡、大和出版、1300円+税)
     阿部さんは脳神経外科医で臨床心理士。さるところでお会いして、この本をいただいた。恋愛グズ、ダメ恋愛、それは脳のせいだそうだ。はやりの「脳トレ」で男運を劇的に変えようと力強いメッセージが帯にある。まだ読んでないけど、中身はもう少しまじめ?な内容のようだ。
     
    ★理科年表・環境編(国立天文台編、丸善、1600円+税)
     ご存知理科年表の別冊。今年が第二版である。本編よりも解説が多いように思う。読み物としても。さっそく部の財産として活用します。
     
    ★永遠のなかに生きる(柳澤桂子、集英社、1300円+税)
     難病を生きる生命科学者・・・という枕詞が定着した柳澤さんのエッセイ集。解説には「最後の」とある。柳澤さんはもう「書き尽くした」感じがあるそうだ。これは過去に書いたものをまとめている。読みやすい。福井爽人さんの日本画が印象的な挿絵になっている。
     
    ★宇宙旅行ガイド(福江純責任編集、パリティ編集委員会編、丸善、2000円+税)
     旅行ガイドの体裁をとっていて、写真もけっこうたくさん載っている。しろうとにもとっつきやすいかもしれない。物理学雑誌「パリティ」に2004年から05年にかけて連載されたものをまとめた本。パリティ、といっても読んでない人も多いだろう。
     
    ★日本の科学/技術はどこへいくのか(中島秀人、岩波書店、2200円+税)
     筆者は東工大助教授で、専門は科学史。ここ10年ぐらいの間に発表した書評や論文をまとめたものだ。問題意識が私のそれと共通していて、いちいち納得しながら読んだ。「私の言いたいことを学問的に言うとこういうことになるのか・・・」などと。「理系白書」を紹介してくださっているページもある。九州出張の機上で読み始め、偶然そのページを目にしてなんだかうれしかった。
    印象に残っている(どっかで引用したい)のは「ハンガリー現象」。20世紀初頭、ハンガリーからノーベル賞受賞者が続出したという。さてそのわけは・・・。
     
    きょうは「早出」と勘違いして9時に出てきた。それから1時間、勘違いに気づかなかったのは、本来「早出」だったE記者が来なかったからだ。E記者が「僕、きょう早出でした」と焦って電話してきたので判明した。
    午後、遅い昼食に出かけて、新書を一冊、カフェで読む。ひょいと顔を上げて隣を見たら、同僚のY記者だった。お互い全く気づかず、隣同士で本を読んでいたのだった。
     
    気がついたらもう月末ではないか。早いなあ。2月は「逃げる」というから3月もあっという間だろう。春が早く来るといい。
     
    December 21

    ひさしぶりに本

    友達はありがたい。
    へとへとになって帰ってきたら、福岡の友人から書籍小包が届いていた。
    中には写真集が2冊。「たまには紅茶でも飲んで、のんびりしてね」とメッセージが入っていた。
    プロフィルにも書いているけど、私はクマが大好き。「Brown diary」という、クマのぬいぐるみが旅をしたり、お風呂でいたずらしたり、お花見に行ったりする写真集だった。
    我が家のクマもそうやって遊んでいる(実際には私が遊んでいる)ので、これを企画した人が他人とは思えなかった。ありがとう。
     
    さて、オフィスにいただいた本を紹介。
     
    ★実践 リーダーをめざすひとの仕事術(メアリー・ウィリアムズら著、日本女性技術者フォーラム訳、新水社、1700円+税)
     企業や研究所に勤める女性研究者が、リーダーになるときに必要な資質を、具体例を示しつつ紹介している。訳本だけど、日本の女性を新たに取材して加えているのが親切。「はじめに」にはこんな風に書いてある。「本書の現代は『リーダーになるために』ですが、これは理工系の女性がみなリーダーになりうる資質を持っていることを強調したいからです。自分のキャリアの各段階で成功を収め、そのやり方を他の人々に示し、周囲に影響を及ぼしていくことによって、その人のリーダーシップは育っていきます」
     
    ★16歳からの東大冒険講座(東京大学教養学部編、培風館、1300円+税)
     2003年から、週末に高校生のための公開講座を開いてきた東京大の講義録。巻頭言にはこうある。「現代社会の生々しい問題や、不思議な現象や、あっと驚くようなものの見方を、いわゆる文系・理系の枠を超えて並べています。・・・一見雑然とした印象を持つかもしれませんが、一見、互いに関係がないかに見える問題が絡み合い、融解・化合し、その中から新しい事実の発見やものの見方が生成しているのです。あえてその知的混沌に飛び込み、そこからスジの通ったものの味方を創造しようとしているのが、大学という世界なのです」。いただいたのは①記号と文明/生命②情報/歴史と未来③文学/脳と心/数理。
     
    ★みどりの香り(畑中顕和、丸善、2200円+税)
     植物に囲まれると、なぜいやされたり元気になるのだろう。著者はそれを化学的に分析してきた研究者。「研究の軌跡」は1957年に始まっている。主なものを紹介しようか。「みどりの香りの生態系での役割」「みどりの香りの生合成」「新茶の香りの生成機構の発見」「みどりの香りとヒトの健康:森林浴の効能に関する研究」「みどりの香りの脳機能イメージング」「みどりの香りの殺菌作用と薬剤耐性」・・・エトセトラ。
     
    ★トポロジーの絵本(G.K フランシス著、笠原皓司監訳、シュプリンガー数学リーディングス8巻、2700円+税)
     無知なのでよく分からないのだけど、黒板に描かれた不思議な図形がたくさん登場する。メビウスの環、不可能な三角形、ホイットニーの壷、野球のボールを裏返す、モーリンのツイスト・・・。私にとっては見知らぬ街の動物園か博物館を訪ねたような感じがする。たくさん書いてある字はおそらく、この絵たちの数学的説明なのだろうと思う。とりあえずおもしろそうなので紹介してみた。
     
    ★生物にみられるパターンとその起源(松下貢編、東京大学出版会、3200円+税)
     以前、私が取材した研究者が追いかけていたのは、チューリングという数学者の提唱した「チューリングの波」で、魚の縞模様の発現の謎にいどむというとても面白いテーマだった。この本には、チョウの目玉模様がどうやってできるか、バクテリアのコロニーがどんな模様を描くか、などなど、自然界の不思議が登場する。一つ一つの分子に意思があるように模様が出てくるのはなぜだろう。本当に不思議。それが解き明かされればもっと面白い。数式は飛ばして読むことができそう。
     
    ★ネット時代に日本のコンテンツビジネスどう変わる(猪熊建夫著、新風舎、1600円+税)
     先日、突然著者の猪熊氏が現れて「無断で引用しました」とこの本を寄贈してくださった。何かと思ったら、この理系白書ブログが紹介されていた。コンテンツビジネスの混沌を上手に整理して、やさしく解説した本。この中にはかろうじて新聞も含まれている。感謝。
     
     
     
     
     
    November 24

    届いた本

    きょうは2本原稿を書いた。
    午後、新聞社志望の女性が訪ねてきてくれて、仕事のことなどを話す。
    米国の大学を出て、いまは日本の大学院で勉強中だという。
    「国際関係の仕事をしたいと思っていたけれど、周囲から『日本にこれだけ問題があるのに、なんで外国にいるの?』といわれて戻ってきました」と話してくれた。
    私の目をまっすぐ見つめて話をする。目と目でコミュニケーションできる、こういう素直な人と一緒に働きたいと思ったが、「いろいろ見て、自分に合う会社を決めるといいよ」とアドバイスする。
     
    夜は会合。
    「元村さんは最近いい出会いしてますか?」といわれて考え込んでしまった。
    仕事でのいい出会いは数知れずだけれど、プライベートが少し足りないかも。
     
    さて、いただいた本。
     
    ・未来をさがそう(責任編集・東倉洋一、ダイヤモンド社、1200円+税)
    著者はもともとNTTの基礎研究所におられて、いまは国立情報学研究所教授。中学生から高校生向けに、テクノロジー(主に情報通信系)の発展をかみくだいて、分かりやすく、マイナス面も含めて解説している。イラストもほのぼのとする。
     
    ・これからの技術者(大橋秀雄、オーム社、2500円+税)
    副題は「世界に羽ばたくプロを目指して」。私は著者略歴から読む癖がある。それによれば身長175センチ、白髪度5分。好きなことは歩くこと、さすらうこと、スキー。なんのなんの、大橋さんは工学院大学の理事長である。
     
    ・日本に住む外国人留学生Q&A(高松里、解放出版社、1200円+税)
    著者は、臨床心理学の研究者で、自助グループ研究の第一人者。たまたま勤務先の九州大で、留学生情報センターの担当になったのがきっかけで、関心をもつようになった。留学生の目線に立っているところが特色だ。留学生と日本人は友達になれる?イスラム教徒は暮らしにくい?国費留学生はリッチ?といったような・・・。留学生サポートに役立つ一冊。
     
    お贈りいただいた本とは別に、今(ごろ?)「進化しすぎた脳」池谷裕二、朝日出版社、1500円+税)を読んでいる。著者に会いたくなった。