| 元村有希子・田中泰義's profile理系白書ブログBlogLists | Help |
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October 05 ノーベル賞3日目3日目は化学賞である。
2000年、2001年、2002年と3年続いた化学賞、そろそろ・・・と期待も高まる。
結果は米国人2人、フランス人1人。
自然科学3賞に日本人はいなかった。
ちょっと残念。でも「ノーベル賞級の研究者はいっぱいいる」ってことで、来年を楽しみにしよう。
ところできょうの受賞は、有機合成分野。「メタセシス」という、炭素の二重結合を自由に切り張りできる手法を予測・開発・改良した3氏が選ばれた。これは従来、不可能に近いとされていた技で、彼らはルテニウムを使って触媒を開発した。
同じルテニウムを使った触媒で、炭素の水素化という手法を編み出した野依良治さんいわく「この分野では本命中の本命」。文句ない3人のようだ。
ところでこの発表の直後、「しまった!」と思ったのは、先週末、京都で参加した「元素科学シンポジウム」の先生たちがほとんど、こういう専門の人たちだったのに、私がその内容をきちんと理解しないまま帰ってきてしまったことだった。
野依さんと同席していた玉尾皓平さんにも電話で話を聞く。後で駆けつけた同僚に玉尾さんが「先日元村さんに渡した周期表にも、ルテニウムの欄に『炭素骨格変換触媒』って書いてるんだけどなあ」とつぶやいていたそうだ。
・・・すみません。 October 04 ノーベル賞2日目さて、2日目は物理学賞である。
我々が「候補」と目している先生方は関東圏と外国に集中している。
6時45分の発表時には、職場のあちこちから「きょうはどう?」と集まってきた。
7時を回っても発表の気配なし。
20分ほど遅れて発表になった。
うーむ。米国人とドイツ人の3人。レーザーのように、位相が整った光の理論を提唱した人と、それに基づいてレーザーの分光技術を開発した人だった。日常生活には直接関係ないけれど、GPSの補正や物質の分光分析に欠かせない技術である。
実は今年は世界物理年ということもあって、「アインシュタイン絡みが来るのかな?」が我々の予想。
アインシュタインは「光には波の性質と、粒子の性質がある」と予言し、ここから量子力学が発展した。
今回の3人は、アインシュタイン絡みと言っていいかもしれない。
October 03 ノーベル賞1日目年に1度の「科学のお祭り」、ノーベル賞ウィークである。
お祭り、というとしかられるかもしれないが、選ぶのはあちら、こちらはジタバタしても意味がないので、あえてお祭りと言ってみる。
1日目は医学生理学賞。6時半の発表に向けて、全員が職場に集まる。
2台のパソコンをクリックして、ノーベル財団の発表を待つ。
早くリリースが現れてほしいような、こわいような。
3分ほど遅れて、
「あ、出た」
「出たか!誰だ」
「うーん・・ぴろり?おー、ピロリ菌だ!」
「おーい、日本人じゃないぞお」
「でもピロリ菌は身近だからちょっと厚めにね」
「リリース早くプリントして」
「もしもし、2人とも外国人だから、各自、待機態勢解除ね」
「号外もきょうはありません」
こんな雰囲気だった。
ピロリ菌を1982年に発見した、マーシャルとウォーレン。オーストラリアの病理学者である。
彼らの発見物語はつとに有名で、ハイライトは「胃潰瘍の原因がピロリであることを証明するために、自らピロリを飲んで発症し、そこから菌を実際に分離した」というもの。
ピロリってかわいい名前だなあ(症状は怖いけど)と思ってきたが、これが「胃の幽門」を指す単語だということを、今日初めて知った。
でもなぜいまピロリなのか、今ひとつ分からず。分かりやすいからいいのだけれども。
あすは物理学賞が午後6時45分に発表される。
お祭りだから、日本人が選ばれるといいなと思う。 August 21 800,000!お知らせ。
当「理系白書ブログ」の総アクセス数が80万を超えました。
70万突破は確か、先月23日。1日平均3500件のアクセスがあるって計算。
野口さん効果かな・・・。ありがとうございます。
振り返れば、昨年の9月3日にこのブログをオープンしたのだった。もうすぐ1年になる。
何人のお客さんが立ち寄ってくれたことだろう。
きょうは夜勤。朝ごはん兼昼ごはんのイカ天とろろうどん(日曜日だが焼きそばではない)を作っていたら、新潟中越地方で震度5強の地震。被害は幸い少ないようだが、未知の活断層の疑いが強い。地元の人たちの不安を思う。
今年のノーベル賞の日程が発表になっていた。10月3日医学生理学賞、4日物理学賞、5日化学賞。経済学賞は10日、平和賞は14日だそうだ。今年は日本人が取るだろうか。
December 07 ノーベルウィーク月曜日からノーベルウィークが始まった。 12月10日、アルフレッド・ノーベルの命日に行われる授賞式を挟んだ1週間、ストックホルムではノーベル賞に関連した行事が連日続く。受賞者によるノーベルレクチャー、記者会見、10日はコンサートホールでの授賞式に続いて、国王主催の晩餐会もある。その後も、学生主催の「もう一つの授賞式」や聖ルチア祭などがあって、クリスマス前の暗くて寒いストックホルムは、はなやかな雰囲気にあふれる。 日本人が受賞しなかった今年、日本のメディアは当然報じない。私はジャパンタイムズを今朝、駅で買った。 今年の話題の一つは、女性受賞者が2人いることだ。しかし、文学賞を受けるオーストリアのエルフリーデ・イェリネクは一連の行事を休むという。 ジャパンタイムズの記者は、理由を「健康上の理由と社交嫌い」と書いていた。 スウェーデン国民はこの日、会社や学校を早退して、家族で晩餐会のテレビ中継を見守る。さしずめ、大晦日の紅白歌合戦である。中でも文学賞の受賞者がどんなスピーチをするかに、とても注目している。物理学や化学よりも文学賞なのだ。 なのに彼女はその栄光を辞退し、代読によるメッセージも断ったという。せっかくだから、彼女の言葉で小説を書く意味を語るところを見たいな、と思う。 私は02年のノーベル賞を現地で取材した。小柴昌俊さんと田中耕一さんが2人も受賞したので、日本からはるばるでかけた。 取材するほどおもしろく、書けば書くほどおもしろい1週間だった。日本人がノーベル賞をどう見ているか、世界がその日本をどう見ているかがよくわかった。 出席者が限られている授賞式と晩餐会にも、運良く潜り込むことができた。ドレスコードがあったから、日本でイブニングドレスを買って持っていったのだった(あのドレス、その後1度しか着てない)。 華やかな演出と豪華な顔ぶれにもまして実感したのは、スウェーデンの人たちが、1世紀の歴史をもつこの賞に誇りと愛着を持っていることだ。日本にも京都賞とか日本国際賞などの、国籍を問わない賞があるけれど、国民はどこかで「なんで外国人に賞をやるの?」と思っているフシがある。マスコミも「外国人にあげてもニュースにならないよ」なんて思っている。 ノーベル賞だって、スウェーデン人がもらうことはほとんどないけれど、これだけの国民行事になっている。まずは、私たちが狭量な愛国精神から自由になることが必要かもしれない。
October 05 物理残念ノーベル賞2日目。物理学賞は、米国人の3人に贈られることが決まった。前日の医学生理学賞を含めると、受賞者5人全員が米国人である。 日本は素粒子を中心とした物理学が強い。今年は日本に来るかな、と密かに期待していたのだが、なんと、今年のテーマは素粒子だった。ヤマをかけた素粒子物理学者の部屋で結果を待っていた同僚は「かすりましたね」と残念そうだ。 ともあれ、私はクリック役だった。ニュースリリースを見て固まった。 「量子色力学だ・・・」 前にも書いたが、私は量子を理解していない。四苦八苦しているところへ、同僚が頬を紅潮させてやってきた。 「これは、ゼンキンテキジユウセイの理論です!」 彼は大学院で理論物理を勉強したので、教科書的知識として知っていたようだ。私はとっさに頭の中で漢字に変換できない。「え?ジェンキンスさん?」みたいな世界である。 あちこちから資料が集まってきて、理解した範囲では、「漸近的自由性」と書く。クオーク同士が近づくほど結合する力は弱まり、遠ざかるほど強まるという、一見ちょっと逆説的で不思議な法則を、彼らは31年前に提唱したという。 2人の人間がゴムひもを持って引っ張り合うのを想像すると分かりやすい。2人が近づくと、ゴムはだらんと垂れる。しかし遠ざかるほど、お互いが引っ張りあっていることを感じる。そういえば、そんなコントがあったなあ。(ゆーとぴあ?) 近づくと離れたくなる。しかし離れると近づきたくなる。恋愛にもどこか似ている。 もちろん、原稿は、こんな雑感抜きで書いた。物理現象をすぐに擬人化してしまうのが、文系人間の習癖かもしれない。なにせ、いまだに「陽子」を「ようこ」と読んでしまう私なのだ。 click!click!ノーベルウィークがとうとうやってきた。初日の4日は医学生理学賞。人間の嗅覚の仕組みを解明した米国の2研究者が選ばれた。 総勢15人のわが職場は、当然のことながら総出で待機する。なぜって、日本人が取ったりしたら、それこそ盆と正月が一緒に来たような大騒ぎになるからだ。 このフィーバーは2000年に白川英樹さんが化学賞を取った時から始まった。自然科学で日本人が受賞したのは、87年の利根川進さん以来。加えて、受賞者がマスコミ的にはノーマークの白川さんだったことが拍車をかけた。メディアの期待?に応えるように、01年(野依良治さん)、02年(小柴昌俊さん、田中耕一さん)と日本人の受賞が続いた。これがボルテージを上げたのは確実だ。 ノーベル賞の発表を聞くためだけに、ストックホルムまで行く必要はない。ノーベル財団のウェブサイトに、発表とほぼ同時にアップされるのを、職場で待ち構える。具体的には、ノートパソコンの「お気に入り」に登録している財団のホームページとにらめっこしながら、何秒かに1度、クリックして更新を繰り返す。 これがスリリングなのです。カチ、カチ(click,click)とやってるうちに、胸の高鳴りがシンクロする。日本人が取りますように、いえ、何事もおきませんように・・・(どっちなんだか)と、ドキドキしながら見守る。 優れた国際賞がたくさんあるのに、ノーベル賞だけ騒ぐという姿勢は再考すべきだろう。白川さんがノーベル賞報道を引き合いに出して「日本の科学ジャーナリズムは・・・」と苦言をおっしゃるのも一理ある。 ただ、ノーベル賞という光が当たることで、科学への理解が半歩でも、一歩でも進むなら、それもいいのでは、と私は思っている。研究者にとって、そして科学記者にとっても、ノーベル賞はやっぱり特別な賞なのだ。どんなふうに伝えるかは、私たち自身が勉強し続けるしかない。 5日は物理学賞。6日は化学賞の発表だ。カチカチ。ドキドキ。いつか私がおばあちゃんになっても、この日がきたら、胸を躍らせてカチカチやるんだろう。 October 01 イグ・ノーベル賞日本が誇る20世紀最大の発明、カラオケ。この発明者に「イグ・ノーベル賞」が贈られた。世界中の人たちをハッピーにさせたからか「平和賞」である。そっか、まだもらってなかったんだと、妙に感心した。 イグ・ノーベル賞は、米ハーバード大系のパロディー科学雑誌が独自に選定している。ユーモアにあふれ、科学への関心を高めた研究に贈られる。年によっては、本家のノーベル賞よりも話題になる。例えば2002年は、愛犬と会話ができる「バウリンガル」を開発したタカラの社長が、平和賞を受けた。 ちなみに理系白書取材班は、ノーベル賞のみならず、イグ・ノーベル賞の受賞者も取材対象にならないかと常に目を光らせているのだ。 個人的には、昨年の化学賞を受けた、金沢大学の広瀬幸雄教授が気になる。彼は、金沢の兼六園で、日本武尊の像がハトのフンで汚れていないのを不思議に思い、研究をスタート。分析をもとに、鳥がよりつかない合金を開発した。これは立派な発明だ。 何よりご本人が、受賞後に「真面目な研究なのに、なんでイグ・ノーベル賞なのか分からない」と、少々不本意な感じでコメントしていた。そうなんです。だからいいんです。 科学研究というのは、ここにこそ面白さがあるのではないかと私は思っている。人の病気をたちどころに治したり、生活を超便利にするだけが科学ではない。人の気持ちを豊かにしたり、ほんわかと幸せにする科学があったっていい。広瀬教授はまさに、イグ・ノーベル賞の精神にかなったお仕事をされたのである。誇りに思っていただきたい。 ところで、来週は月、火、水とノーベル賞の自然科学3賞が発表になる。科学環境部も、あわただしくなってきた。一般の人は「発表されてないのに、なんで?」と思われるかもしれないが、準備こそがノーベル賞報道を決める。だから忙しい。 イグ・ノーベル賞を今まで受けた日本人は誰だろ、と思って検索したら、ありました。あるいみ、科学の真髄ともいえる、大真面目でほほえましい研究が・・・。是非のぞいてみてください。 http://www.cv.its.hiroshima-cu.ac.jp/~kazutaka/recollection/ignobel.html お知らせ。「理系白書」10月号の掲載日が決まりました。14日朝刊です。テーマは「フェローって何?」。話題のあの人、この人が登場するかも。ご期待ください。
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